家族の面会,手紙郵送,差し入れはできるの? | 元裁判官による刑事弁護、名古屋の弁護士・高橋裕

名古屋の元裁判官による刑事弁護、成田龍一法律事務所 高橋裕弁護士
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家族の面会,手紙郵送,差し入れはできるの?

※※弁護士事務所に勤務して間もない新人職員(少しの知識と経験あり)からの質問に答えるという形で説明しています。

新人職員

家族が警察に逮捕された場合,残された家族の面会,手紙郵送,差し入れはできるのですか?

弁護士
高橋裕

現在の法律では,逮捕直後は,原則,家族の面会,手紙郵送はできません。
再逮捕の際などに,面会などを認めてもらえることがありますが,面会させるように要求することはできない仕組みになっています。

新人職員

差し入れは可能ですか?

弁護士
高橋裕

着替え,タオル,便箋などの日用品,雑誌などは,品と数に警察署の決まりはありますが,基本的に可能です。警察署の中で物を買うための金銭も,管理上金額が制限される可能性もありますが,基本的に可能です。

新人職員

逮捕された人に面会して伝えたことがある場合,どうしたらよいのでしょうか?

弁護士
高橋裕

弁護士を依頼するのが一番です。弁護士依頼については,「家族が突然,逮捕されました。」で説明しています。

新人職員

先ほど,「逮捕直後は,」と言われましたが,「逮捕直後」でなければ,どうなるのですか?

弁護士
高橋裕

逮捕日の2~3日後に勾留されることが多いです。勾留されることになった場合,裁判官が「接見等禁止」という決定を出すことがあります。

新人職員

何ですか,それは?

弁護士
高橋裕

簡単に言うと,「面会は禁止,手紙も禁止」という裁判官の決定です。

新人職員

家族もだめなのですか?

弁護士
高橋裕

基本,「家族も含めて禁止」という内容の決定が出ます。
例外的に,逮捕された人が未成年者の場合,「両親を除いて禁止」という決定が出ます。したがって,未成年者の場合,両親は面会などができます。

新人職員

逆に,「接見等禁止」という決定が出なかった場合は,誰でも,何時でも,面会などができるのですね。

弁護士
高橋裕

「誰でも」は,そのとおりですが,「何時でも」は,そのとおりではありません。

新人職員

裁判官が禁止しないのだから,「何時でも」面会できるんじゃないですか?

弁護士
高橋裕

そこを勘違いされる人が多いのです。裁判官は,「禁止」はしていないというだけで,「何時でも面会できる。」と言っている訳ではありません。

新人職員

「何時でも」が駄目なら,何時なら良いのですか?

弁護士
高橋裕

面会のルールがあって,平日の昼間のみです。夜は面会できません。土日祝日も面会できません。平日昼間の面会時間や,面会予約の方法は,警察署ごとに異なります。さらに,面会できる日でも1日の面会回数制限があります。

新人職員

警察官ごとに異なるルールは,どうしたら分かるのですか?

弁護士
高橋裕

簡単です。逮捕された人がいる警察署に電話して,「逮捕されてそちらに入っている○○の家族です。面会の仕方を教えてください。」と言えば,面会担当の係に電話をつないでくれます。そこで,教えてもらえます。

新人職員

家族も面会禁止となった場合,ずっと面会できないのですか?

弁護士
高橋裕

担当弁護士が「家族だけは面会などを認めてもらいたい。」という申立て(接見等一部解除申立て)」をして,家族だけは面会だけさせて貰えるようにする手続があります。

新人職員

その申立てはどこにするのですか?

弁護士
高橋裕

裁判所,正確にいうと,裁判官です。

新人職員

裁判所と裁判官は違うのですか?

弁護士
高橋裕

正確に言うと,区別すべきですが,そのことを説明すると長くなるので,別の機会に譲りましょう。

新人職員

はい。話が元に戻りますが,「家族だけは面会などを認めてもらいたい。」という申立てをすると,必ず,家族だけは面会などできるようになるのですか?

弁護士
高橋裕

裁判官が判断しますので,残念ながら,100パーセントそうなるという保証はありません。しかし,裁判官に「家族だけは面会などしてもよい」と判断して貰えるように,弁護士として説得力のある書面(接見等一部解除申立書)を書くことが大事です。

新人職員

質問いいですか?

弁護士
高橋裕

はい,どうぞ。

新人職員

さきほど,お金の差し入れの話がありましたが,警察署の中に売店があって,その売店で買い物ができるのですか?

弁護士
高橋裕

売店があるわけではありません。警察署が指定した業者が週に2回ほど来て,逮捕された人たちが予め購入注文した品物を届けてくれます。その品物を購入するのにお金が必要になります。

新人職員

逮捕された人たちが警察署の中で買う物って,どんなものですか?

弁護士
高橋裕

日用品のタオル,歯ブラシ,シャンプー。取調べ状況を後で記録しておくためのノート,サインペン。弁護士や家族との連絡用の便箋,封筒,郵便切手などです。

新人職員

どれも必要なものですね。

弁護士
高橋裕

はい。その他に,菓子パン,お菓子などが購入できるようです。

新人職員

それは,必ずしも必要ないのでは?

弁護士
高橋裕

逮捕されて警察署の中にいると,当然のことながら,ストレスがたまります。栄養を考えた食事は提供されますが美味しくはないようです。雑誌を読んだり,お菓子を食べることくらいしか,楽しみはない人が多いようです。

新人職員

どこの警察署も同じですか?

弁護士
高橋裕

私も警察署の中で生活したことはないので,申し訳ありませんが,詳しいことまでは分かりません。

新人職員

まぁ,そうですよね。

弁護士
高橋裕

「ストレス」,「楽しみ」という話が出ましたが,家族や友人などが面会に来てくれることは,逮捕された人にとって,大きな喜びであり,ストレス解消にもなるようです。

新人職員

そうでしょうね。

弁護士
高橋裕

弁護士は家族ではありませんが,逮捕されて誰にも面会に来てもらえない人にとっては,弁護士は仕事で来ているんだと分かっていても,弁護士面会(接見)が嬉しいようです。

新人職員

そんな気持ちになるんですね。

弁護士
高橋裕

はい。私も,弁護士になった初めのころは,逮捕された人のそのような気持ちは分かりませんでした。しかし,事件をたくさん担当するうちに,「仕事で来ていると分かっていても,弁護士面会(接見)は嬉しい,感謝します。」と,複数の人から言われたり,そんな手紙をもらったことがあります。本当に嬉しいようですよ。

新人職員

最後にもう一つ質問,いいですか?

弁護士
高橋裕

はい。

新人職員

裁判官が接見等禁止の決定を出したときに,先ほど,家族だけは面会などできるように申し立てをするという話がありましたが・・・。

弁護士
高橋裕

はい。

新人職員

そもそも,その決定が不当であると主張して,接見等禁止決定の取り消しを求める手続があると聞いたのですが・・・。

弁護士
高橋裕

良い質問ですね。そうです。準抗告(抗告)という申し立てができます。

新人職員

その手続はしないのですか?

弁護士
高橋裕

多くの弁護士は,第1次的に準抗告をして決定全体の取り消しを求め,第2次的にせめて家族だけでも会えるような決定を求めます。

新人職員

高橋裕弁護士は,そのようにしないのですか?

弁護士
高橋裕

しません。家族だけが会えるような決定のみ,求めます。

新人職員

なぜですか?

弁護士
高橋裕

事件関係者と面会や手紙の繋がりを保てない方が,結局,本人の利益になる場合が多いと考えるからです。もちろん,個別事件ごとに判断します。

新人職員

何か,具体例な事例はありますか?

弁護士
高橋裕

接見等禁止がない状況下で,逮捕されている人が・・・弁護士高橋の知らないうちに・・・事件関係者と郵便で連絡を取り合ったことがありました。そのため証拠隠しを疑われ(手紙の内容は証拠隠しを疑われる内容でした),その後の保釈請求,公判での情状立証に困難を来しました。

新人職員

そんなことがあったのですね。

弁護士
高橋裕

筋論で言えば準抗告をすべきでところでも,現実の刑事弁護活動では筋論よりも逮捕されている人の利益を優先します。

新人職員

今日は,家族の面会,手紙郵送,差し入れのお話の予定でしたが,準抗告の説明までしていただきました。
ありがとうございました。

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