刑事事件の仕組み3(起訴~判決) | 元裁判官による刑事弁護、名古屋の弁護士・高橋裕

名古屋の元裁判官による刑事弁護、成田龍一法律事務所 高橋裕弁護士
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刑事事件の仕組み3(起訴~判決)

※弁護士事務所に勤務して間もない新人職員(少しの知識と経験あり)からの質問に答えるという形で説明しています。

新人職員

今日は,刑事事件の仕組み③(起訴~判決)について説明をお願いします。

弁護士
高橋裕

はい。なお,起訴前には,勾留取消請求,勾留延長の裁判,これに対する準抗告,勾留理由開示などの手続もあるのですが,刑事事件の仕組みの概要を見通すという点から,今回は割愛させていただきます。機会があれば,別の項目でご説明致します。

新人職員

はい。勾留されたまま釈放されずに起訴されると,次は保釈の手続ですね。

弁護士
高橋裕

そのとおりです。保釈については,保釈保証金の準備の点も含めて,別項目で何度かに分けて詳しく説明していますので,そちらをご覧ください。

新人職員

はい。

弁護士
高橋裕

保釈されたという前提で話を進めます。起訴後,1週間くらいすると,裁判所から電話が掛かってきて,第1回公判期日をいつにするか打ち合わせをして決めます。正確に言えば,決めるのは裁判所ですが,当然,検察官,弁護人の準備に必要な期間などを考慮します。そのための打ち合わせです。

新人職員

裁判の証拠は,いつ検討するのですか?

弁護士
高橋裕

起訴後,2週間ほどすると,検察官が公判期日において請求する予定の証拠を弁護人に開示します。

新人職員

弁護人が閲覧謄写することができるという訳ですね。

弁護士
高橋裕

そうです。閲覧の場合は検察庁に赴いて閲覧します。謄写の場合は弁護士共同組合を介して謄写手続をします。謄写費用は掛かりますが(名古屋の場合,書面1枚44円),証拠のコピーが手元にあった方が,自分のメモを書き込んだり,ラインマーカーを引いたりして仕事がしやすいので,ほとんどの場合,謄写手続をしてコピーを読みます。

新人職員

証拠を検討した後は,どうしますか?

弁護士
高橋裕

依頼者(被告人)と公判の打ち合わせをします。保釈されていれば,事務所で行います。

新人職員

打ち合わせは,どのような内容ですか?

弁護士
高橋裕

まず,被告人の言い分を聴きます。既に,起訴前の段階で被告人(起訴前は被疑者)の言い分を聴いていますが,改めて,確認します。言い分が変わったりすることもありますので,必ず,再度確認します。

新人職員

言い分が変わる被告人もいるのですか?

弁護士
高橋裕

少ないですが,時折います。

新人職員

どのように変わるのですか?

弁護士
高橋裕

大きく変わるものとしては,「自白から否認」です。その逆もありますが,大変なのは,「自白から否認」です。

新人職員

えっ,それまでの言い分と全く正反対じゃないですか?

弁護士
高橋裕

そのとおりです。

新人職員

どうするのですか?

弁護士
高橋裕

被告人の言い分が変わっても基本どおりです。先ず,被告人の言い分に耳を傾ける。そして,これまで正反対の話(自白)をしていた事情,今回,言い分を変えた(否認する)事情を十分に聴き取ります。

新人職員

まぁ,そうするしかないですね。

弁護士
高橋裕

そして,検討した証拠の内容と照らし合わせて,取り調べに同意してよい証拠と取り調べに同意しない証拠とを判別します。同意しない証拠については,検察官が証人の取り調べを請求してくる可能性があるので,その対処方法なども打ち合わせします。更に,被告人の言い分を裁判所に認めて貰える可能性を高める新たな証拠や証人について打ち合わせをします。

新人職員

結構,大変ですね。

弁護士
高橋裕

そのとおりです。争いのある事件では,起訴した検察官,弁護する弁護士,判断をする裁判官,いずれも大変な仕事をすることになります。検察官と主張と被告人の主張が異なるのですから,当然です。

新人職員

起訴事実に争いのない事件の打ち合わせは,どのような内容ですか?

弁護士
高橋裕

起訴事実に争いのないことを改めて確認します。起訴事実に争いのない事件の場合でも,周辺事情(情状事実)について,被告人の話と検察官が開示した証拠の内容が食い違っていることがあるので,油断はできません。そのような点も含めて,被告人と十分に打ち合わせをする必要があります。

新人職員

起訴事実に争いのない事件の場合,判決での量刑が大事な話になるので,家族の人たちを証人に立てるのですね。

弁護士
高橋裕

そのとおりです。通常は,家族,勤務先の社長,上司などを情状証人として,裁判所(公判期日)で,被告人を監督しますと証言してもらいますので,それらの人たちとも,一緒に打ち合わせをする必要があります。

新人職員

何か上申書といった書面は提出しますか?

弁護士
高橋裕

情状証人を予定していた人が裁判所に出頭できない場合は,証人尋問を請求する代わりに上申書を書いて貰って取り調べ請求をします。

新人職員

被告人の上申書は提出しますか?

弁護士
高橋裕

いいえ。他のテーマのところでもお話していますが,基本的に,被告人の上申書は請求しません。被告人は,必ず公判期日に出廷するので,直接,裁判官に向かって話をしてもらいます。

新人職員

公判は何回くらい開かれるのですか?

弁護士
高橋裕

公判期日(裁判所の法廷で審理を実施する日)の回数は,被告人,弁護人側の基本方針などによって異なってきます。起訴事実に争いのない事件の場合は,審理期日が1~2回,判決期日が1回,合計2~3回です。

新人職員

テレビで見る芸能人の事件は,最初の公判期日で審理が終わって,次の期日で判決というのが多いですね。

弁護士
高橋裕

一般の方でも,起訴事実に争いのない事件は,そのような進行が多いです。被告人や家族としても早く裁判を終わらせたいという気持ちです。

新人職員

逆に,起訴事実に争いのある事件の場合は,公判期日は何回くらい開かれますか?

弁護士
高橋裕

千差万別です。争いの内容,証拠に対する意見の内容,検察官請求証人の人数及び尋問時間などにより,いろいろです。争いのある事件でも,公判期日3回~4回で終わる事件もありますが,長いと公判期日10回以上,審理期間1年以上の事件もあります。本当にいろいろです。

新人職員

わかりました。ところで,芸能人などの事件の判決報道で,「執行猶予」ってよく聞きます。何となく分かっているとは思うのですが,正確にはよく分かりません。法律的に言うと,どういうことですか?

弁護士
高橋裕

執行猶予については,別項目「執行猶予ってどう言うこと?よく聞くけど。」で説明します。

新人職員

はい。執行猶予については,その項目でお願いします。今日は,刑事事件の仕組み③(起訴~判決)について,説明していただきました。ありがとうございました。

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