家族が逮捕・勾留されたら相談➈(釈放はいつ?(キ)(勾留期間延長の阻止[若干の補足説明(甲)]))
家族の逮捕⇨弁護士相談
※これまでに(➅~➇),勾留期間延長の阻止(上)~(下)についてお話しました。
※今回(➈)は、勾留期間延長の阻止(若干の補足説明(甲))についてお話します。
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・説明の便宜上,勾留期間延長の阻止(上)~(下)の内容と少し重複します。
【勾留延長を阻止する方策】
・これまで、3回(➅~➇)にわたり、勾留期間延長の要件(やむを得ない事由)について・・・現在の要件、過去の要件、将来の要件の観点から・・・お話しました。
・今回(➈)は、その若干の補足説明(甲)です。
【法律的な対策と実務的(現実的)な方策】
・勾留期間延長の中心的要件は、現在の要件(勾留満了日において起訴・不起訴を決しがたい状況)です。
・勾留満了日において起訴・不起訴を決しがたい状況にあるから、検察官は勾留期間延長請求をします。
・勾留満了日において起訴・不起訴を決することが可能な状況にあれば、検察官は勾留期間延長請求をしません。起訴または不起訴の処分を決定します。当然のことです。
・そうすると、被疑者の勾留期間延長を阻止するためには、検察官が勾留満了日において起訴・不起訴を決することが可能な状況にする、というのが実務的(現実的)な方策となります。
【勾留10日で捜査が終了する事案と延長が不可避な事案】
・検察官が勾留満了日において起訴・不起訴を決することが可能な状況にするとは言っても、できる事案と、できない(著しく難しい)事案があります。
・できない(著しく難しい)事案(10日間の勾留期間で捜査を終わらせることが見込まれないような事案)について、勾留期間延長請求をしないように検察官に働きかけたり、勾留期間延長決定をしないように令状担当裁判官に働きかけたり、勾留期間延長決定に対する準抗告申立てをしても、現実には奏功しません。
・例えば、勾留事実の基本的核心部分(犯人性など)について捜査官と被疑者との間で主張が大きく異なっている事案(いわゆる否認事件)は、犯人性を否定する被疑者の言い分が正しいことが明白な客観的証拠によって明らかになるなど、格別の状況にない限り、10日間の勾留期間で捜査が終了する見込みは著しく乏しいと考えられます。
・また、取り調べを要する事件関係者が十数名に上るような事案(例えば共犯者多数、被害者多数、目撃者多数など)の場合も、事案の内容にもよりますが、多数共犯者や多数被害者、多数目撃者の取り調べ・供述調書作成が既に終わっているなどの、格別の状況にない限り、10日間の勾留期間で捜査が終了する見込みは著しく乏しいのが実情と、やはり言えるでしょう。
【勾留10日で捜査が終了する見込みのある事案を見分ける】
・先ずは、勾留10日で捜査が終了する見込みのある事案を見分けることが必要となります。
・自白事件か否認事件か、共犯者の有無人数、被害者、目撃者など関係者の有無人数などの視点から、見分けることになります。
★ここで留意すべき事項があります。
・弁護士接見した際に、被疑者本人が、「自白事件です。認めています。」と述べても、安心はできません。
・いつくか実例があります。
【安心できない実例1:公金をだまし取った詐欺事件】
・公金をだまし取った詐欺事件の初回弁護士接見です。
・事実関係と認否を確認すると、被疑者は、「事実は間違いありません。すべて認めています。お金を受け取っています。受け取ったお金の大部分は残っていますので、早く謝罪して返金したいです。よろしくお願いします。」といってきました。
・しかし、被疑者の話をよく聴いてみると、「公金の支給を申請する際、受け取る際に、嘘は言っていない。しかし、受け取ってはいけない状況にあるのに公金を受け取ったというので詐欺になると言われれば、間違いありません。」という話です。
・被疑者の言い分を前提にすれば詐欺罪は成立せず、その言い分を警察官、検察官に話せば、典型的な「否認事件」という扱いです。
・しかし、被疑者は、「受け取ってはいけない状況にあるのに公金を受け取ったというので詐欺になることは納得している。」と言います。
・こうなると、弁護士接見も、通常の否認事件よりも更に時間がかかります。
・詐欺罪の法律的な説明、被疑者の言い分の確認、被疑者の言い分を前提にした場合の法的判断などを説明して、否認事件として扱われていることを正しく認識させることが必要です。
・弁護士接見で通常の否認事件よりも更に時間がかかるのですから、警察官、検察官の取り調べも通常の否認事件よりも更に時間がかかることが予想されます。
・被疑者本人が「自白事件です。認めています。」と述べても、安心はできない事案の一例でした。
・勾留10日で捜査は終了せず、勾留期間延長決定がされました。
・なお、この事件は、結局、被疑者が公金の支給を申し出る際、受け取る際に、客観的事実とは異なる説明をした事実が、被疑者が公的機関に提出した受給申請書などの記載内容から明らかとなりました。
・被疑者の当初の説明である「公金の支給を申請する際、受け取る際に嘘は言っていない。」という話し自体が嘘だったことになります。
【安心できない実例2:住居に侵入して150万円を盗んだ事件】
・勾留期間延長の阻止(若干の補足説明(乙))でお話し致します。
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※今回(➈)は,勾留期間延長の阻止(若干の補足(甲))について、お話しました。
※次回(➉)は、勾留期間延長の阻止(若干の補足(乙))について、お話する予定です。
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【相談電話でご説明する事項=質問される事項】
・逮捕後の手続きの大まかな流れ(今後どうなるの?)・・・前々々回(➁)
逮捕~勾留(釈放)~起訴(不起訴)~保釈まで
(起訴後の審理(公判手続)~判決~控訴は,別途お話します)
・釈放される時期(いつ釈放されるの?)・・・前々回~今回~次回(➂~➅)
勾留請求前~勾留請求後~勾留決定後~勾留期間満期~起訴後(保釈)
・未成年者の場合,成人との違いはあるの?
未成年者にも保釈はあるの?
・弁護士の関与
弁護士を付けた方がいいの?
弁護士はどの段階で関与するの?
・弁護人などの種類,費用
国選弁護人
私選弁護人
当番弁護士って聞いたことあるけれど,何?
日弁連被疑者援助弁護士って聞いたあるけれど何?
★20年にわたり刑事事件担当裁判官を勤めた弁護士高橋裕が,名古屋の実情を含め,お話します。
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