

※弁護士事務所に勤務して間もない新人職員(少しの知識と経験あり)からの質問に答えるという形で説明しています。
新人職員
元裁判官弁護士高橋裕の強みを,ずばり,教えてください。
弁護士
高橋裕
一言で言えば,刑事事件担当裁判官20年の経験があることです。
新人職員
何となく,イメージとしては理解できますが・・・具体的な刑事事件を担当する際に,どのように活かされてくるのか?,もう少し,わかりやすく説明してください。
弁護士
高橋裕
わかりました。それでは,まず,具体的な刑事事件の中で,裁判官がどのような仕事をしているか,見ていきましょう。
新人職員
具体的な事件を例にして説明してもらうと,わかりやすいと思います。
弁護士
高橋裕
はい,強盗事件が起きました。深夜,店員の少ない時間帯に,住宅街のコンビニに包丁を持った強盗が入り,レジから現金20万円を奪って逃げました。翌日,防犯カメラに映っていた映像から,近所に住む男性が浮かび上がり,被疑者として逮捕され,翌日,10日間の勾留決定がされ,更に7日間勾留延長されて,その後,検察官が,強盗罪で起訴しました。被告人は,起訴後3日ほどで保釈され,その2か月後,弁護人が示談を成立させたこと,前科がなかったこと,反省していることなどを考慮されて,執行猶予判決を受け,刑務所には入らずに済みました。
新人職員
ニュースなどでよく見る事件ですね。
弁護士
高橋裕
この事件の説明の中に裁判官は書いてありません。実際には,裁判官がどのように関与しているのか,わかりましたか?
新人職員
逮捕と執行猶予判決ですか?
弁護士
高橋裕
その2つは正解です。その他の場面でも登場します。最初から見て行くと,被疑者の逮捕を認めるか?,被疑者の勾留を認めるか?,勾留延長を認めるか?,保釈を認めるか,審理を担当する,判決は執行猶予にするか?,多くの場面で裁判官が重要な判断という仕事をしているのです。
新人職員
なるほど。
弁護士
高橋裕
弁護士高橋裕は,裁判官として多くの刑事事件を担当して来たので,弁護士となった現在でも,刑事事件を担当すると,先ず,裁判官はこの事件をどのように見るだろうか,各手続の要所でどのような判断をするだろうか?,そして,被告人や家族にとってもっとも心配な,刑務所に入る可能性がどの程度あるだろうか?,ということを考えます。意識して考えようとするのではなく,自然とそのような発想になります。刑事事件担当裁判官20年間の習慣は,なかなか抜けません。手続の重要な場面,場面で,裁判官の視点から事件を見ています。
新人職員
裁判官の視点から刑事事件を見ることはわかりました。
弁護士
高橋裕
そして,裁判官の視点から事件を見た上で,裁判官が事件をそのように捉えているのであれば,弁護人としては,それを前提にしてどのような活動をすることが,依頼者(被疑者・被告人)にとって,最も良い方向に進むか?,と考えます。
新人職員
裁判官の視点で刑事事件を見ることは,裁判官の経験がないと相当難しいですよね。
弁護士
高橋裕
そのとおりです。ベテランの弁護士になると,長年にわたる弁護士活動を通じて,裁判官の視点を推しはかることができるようになりますが,残念ながら,裁判官の仕事を直接体験した場合と同じようにはなりません。
裁判官の視点からその刑事事件の見通しを捉え,その見通しを前提に,最良の選択肢を選び出し,依頼者(被疑者・被告人)のために最良といえる弁護活動を行います。
これが,元裁判官弁護士高橋裕の強みといえます。
新人職員
今日は,元裁判官弁護士高橋裕の強みの説明,ありがとうございました。