家族が逮捕・勾留されたら相談➆(釈放はいつ?(オ)(勾留期間延長の阻止[中])) | 元裁判官による刑事弁護、名古屋の弁護士・高橋裕

名古屋の元裁判官による刑事弁護、成田龍一法律事務所 高橋裕弁護士
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家族が逮捕・勾留されたら相談➆(釈放はいつ?(オ)(勾留期間延長の阻止[中]))

家族の逮捕⇨弁護士相談

※前回(➅)は,勾留期間延長の阻止(上)(釈放のための弁護活動)についてお話しました。
※今回(➆)は,勾留期間延長の阻止(中)(釈放のための弁護活動)についてお話します。

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・説明の便宜上,前回(➅)の内容と少し重複します。

【勾留延長の要件(やむを得ない事由)】
・裁判官が,勾留期間を延長するためには,要件として「やむを得ない事由」が必要です(刑訴法208条2項)
・条文には「やむを得ない事由」としか書かれていません。刑事訴訟法の条文の解説書などに詳しく説明されています。

【着眼点】
・当職(元裁判官弁護士高橋)は,裁判官勤務の際,時間軸に着眼して,⑴現在の要件,⑵過去の要件,⑶未来の要件,と分けて考えていました。この名称は一般的なものではありません。判断の着眼点として,当職はそのように呼んでいました。

【現在の要件】
・勾留期間延長請求に対する判断の時点(現在)において,勾留期間を延長して更に捜査を継続しなければ,検察官が起訴(起訴の種類)不起訴を決定することができない状況にあること。

・勾留期間延長が認められるための中心的要件といえます。

【過去の要件】
・勾留期間延長請求をするまでの間(過去)において,捜査機関において行なうべき捜査を尽くしていること。

・捜査機関において勾留後に十分な捜査を尽くしていない状況下で延長を認めることは,捜査機関の捜査不十分という事情を、被疑者の不利益に帰することになるので許されません。

実例
・当職(元裁判官弁護士高橋)の裁判官勤務時の実例を紹介します。

・簡明な事案であり,被疑者の供述状況にも照らすと,通常であれば,勾留期間延長請求をすることなく,検察官が起訴(起訴の種類)不起訴を決定することが十分にできる事件でした。

・確認したところ,本来であれば勾留期間延長請求する事案ではないが,司法修習生の修習用事案としたため,通常よりも時間がかかり勾留期間延長請求することとなった,という事情でした。

・「やむを得ない事由」のうち,過去の要件を満たしていないことが明白でした。勾留期間延長請求は撤回されました。

【将来の要件】
・勾留期間を延長することにより,【現在の要件】に該当する状況・・・勾留期間を延長して更に捜査を継続しなければ,検察官が起訴(起訴の種類)不起訴を決定することができない状況・・・が解消される見込みがあること。

・勾留期間を延長しても,【現在の要件】に該当する状況が解消される見込みがないのであれば,無駄な延長であり,被疑者の身柄拘束期間を不当に長期化させるだけです。

・当然過ぎるほど当然の要件ですが,実務では,意外と意識されていない(あるいは【過去の要件】と混乱している)と思われる事案がありました。

実例
・当職(元裁判官弁護士高橋)の裁判官勤務時の実例を紹介します。

・10日間の勾留期間延長を求めてきた請求書の「延長を必要とする理由」欄に「共犯者が逃走中であり,共犯者を取り調べなければ,事案の真相を解明し,起訴・不起訴を決定することができない状況にある。」という記載がありました。

・当職のもとに示された一件記録(捜査記録)を検討してみると,捜査報告書中に,「共犯者は逃走中であり,共犯者の生活活動区域及びその周辺,親族,知人,友人らの生活活動区域及びその周辺,出身地である実家所在地及びその周辺を隈なく調べたが,共犯者が活動あるいは親族らに接触を図った形跡は全く窺われず,共犯者の行方は皆目見当がつかない。」旨の記載がありました。

・このような状況であれば,仮に勾留期間を延長しても共犯者の所在が判明する見込みがあるとは言えず(もしかしたら見つかるかも知れないとい程度では不十分です),結局,共犯者を取り調べることができる見込みがあるとは言えません。

・勾留期間延長を認めるための要件「やむを得ない事由」のうちの【将来の要件】を満たしていないことは明らかでした。

・裁判官当時の当職の推測ですが,当初の勾留期間中に逃走中の共犯者の所在捜査を一生懸命に実施したこと(【過去の要件】)を力説する余り,【将来の要件】を満たしているか?、という観点が希薄になってしまったのではないか,と思われました。

・なお,この事案では,「共犯者取り調べ未了」の他に,勾留期間延長の要件「やむを得ない事由」を満たしている理由がありましたので,結局,延長期間を10日よりも短くして(20年以上前の事案ですので,日数は忘れてしまいました)勾留期間延長決定をしました。

【勾留期間延長決定に対する準抗告申立て】
・次回(➇)にお話します。

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※今回(➆)は,勾留決定後に釈放される機会(タイミング),釈放のための弁護活動のうち,勾留期間延長の阻止の途中(中)までお話しました。

※次回(➇)は,勾留期間延長の阻止(下)について,お話する予定です。

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【相談電話でご説明する事項=質問される事項】
・逮捕後の手続きの大まかな流れ(今後どうなるの?)・・・前々々回(➁)
逮捕~勾留(釈放)~起訴(不起訴)~保釈まで
(起訴後の審理(公判手続)~判決~控訴は,別途お話します)

・釈放される時期(いつ釈放されるの?)・・・前々回~今回~次回(➂~➅)
勾留請求前~勾留請求後~勾留決定後~勾留期間満期~起訴後(保釈)

・未成年者の場合,成人との違いはあるの?
未成年者にも保釈はあるの?

・弁護士の関与
弁護士を付けた方がいいの?
弁護士はどの段階で関与するの?

・弁護人などの種類,費用
国選弁護人
私選弁護人
当番弁護士って聞いたことあるけれど,何?
日弁連被疑者援助弁護士って聞いたあるけれど何?

★20年にわたり刑事事件担当裁判官を勤めた弁護士高橋裕が,名古屋の実情を含め,お話します。

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