家族が逮捕・勾留されたら相談➇(釈放はいつ?(カ)(勾留期間延長の阻止[下]))
家族の逮捕⇨弁護士相談
※前回(➆)は,勾留期間延長の阻止(中)(釈放のための弁護活動)についてお話しました。
※今回(➇)は,勾留期間延長の阻止(下)(釈放のための弁護活動)についてお話します。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
・説明の便宜上,前々回(➅)、前回(➆)の内容と少し重複します。
【勾留延長を阻止する具体的な方策】
・前々回(➅)、前回(➆)で、勾留期間延長の要件(やむを得ない事由)について・・・現在の要件、過去の要件、将来の要件の観点から・・・お話しました。
・今回(➇)は、その説明を前提に、勾留延長を阻止する具体的な方策について、お話します。
【検察官に対する意見書提出・・・手続の最初の段階】
・これまでの説明で明らかなとおり、勾留期間の延長手続は、検察官の請求から始まります。
・したがって、勾留延長を阻止する最初の段階は、検察官に対する働きかけ(意見書提出)です。
・勾留10日間の後半に入ったころ、検察官に対し意見書を提出して、その被疑事件について、勾留延長の要件である「やむを得ない事由」が存在しないことを・・・現在の要件、過去の要件、将来の要件の観点から・・・指摘して勾留延長請求をしないように働きかけるのが『理論的に正しい』方策となります。
【理論的に正しい?】
・しかし、理論的に正しい方策が、現実に良い結果につながるとは限りません。
・勾留10日間の後半に入ると・・・事案によっては勾留当初から・・・担当検察官は、延長請求するかどうかの方針を決めていると考えられます。
・少なくとも、現在の要件(勾留満了日において起訴・不起訴を決めがたい状況)は満たしている可能性は高いと思われます。
(起訴・不起訴を決めることができる状況であれば・・・多くの事件を担当して忙しい検察官は、わざわざ勾留期間の延長請求はしません。)
・そのような状況のもとで、現在の要件の不存在を指摘しても奏功する可能性は低いと考えられます。
・過去の要件について指摘することは、検察官に対し、勾留延長請求をする前に、勾留延長の要件である「やむを得ない事由」の不備を指摘してそれを是正する方法を伝えることにつながります。
・将来の要件についても同様です。
・以上のように考えると、検察官に対し意見書を提出して、勾留期間の延長請求をしないように働きかけるのは、あまりよい方法とはいえないと思われます。
・手続の次の段階として、勾留期間の延長請求を受けた担当裁判官に対し意見書を提出して、勾留期間延長の要件である「やむを得ない事由」が存在しないことを・・・殊に、過去の要件、将来の要件の観点から・・・指摘して勾留期間延長請求を却下するように働きかけるのが、有効な方法であると考えられます。
・担当裁判官に、勾留期間延長請求を却下するよう求める旨の意見書を提出し、事案に即した適切な指摘がされている場合、勾留延長請求が却下されることは稀ですが、延長の期間が検察官の請求した期間よりも短くなることは、時折り見受けられます。
・当職も、裁判官時代に、そのような経験を数多くしています。
・経験上、最も有効な指摘は、過去の要件(捜査機関において勾留後に十分な捜査を尽くしていること)が欠けている、あるいは、欠けているとまでは言えないまでも、勾留後に十分な捜査を尽くしているとは言い難く、合計20日間の勾留期間は不当である旨の指摘ではないかと思われます。
【裁判官の勾留期間延長決定に対する準抗告申立て・・手続の次の次の段階】
・裁判官に対する意見書提出にもかかわらず、勾留期間延長決定が出た場合、次の手続は、その決定に対する準抗告申立てです。
・勾留期間延長決定は、勾留に関する裁判ですので、準抗告の申立てができます(刑事訴訟法429条1項2号)。
・勾留決定に対する準抗告申立てと同様です。
・申し立ての理由は、基本的には、勾留期間延長請求を担当裁判官に対する意見書と同じですが、担当裁判官を説得できなかったことを前提にすれば、より説得的な記載が必要になります。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
※今回(➇)は,勾留決定後に釈放される機会(タイミング),釈放のための弁護活動のうち,勾留期間延長の阻止(下)について、お話しました。
※次回(➈)は、勾留期間延長の阻止(若干の補足)について、お話する予定です。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
【相談電話でご説明する事項=質問される事項】
・逮捕後の手続きの大まかな流れ(今後どうなるの?)・・・前々々回(➁)
逮捕~勾留(釈放)~起訴(不起訴)~保釈まで
(起訴後の審理(公判手続)~判決~控訴は,別途お話します)
・釈放される時期(いつ釈放されるの?)・・・前々回~今回~次回(➂~➅)
勾留請求前~勾留請求後~勾留決定後~勾留期間満期~起訴後(保釈)
・未成年者の場合,成人との違いはあるの?
未成年者にも保釈はあるの?
・弁護士の関与
弁護士を付けた方がいいの?
弁護士はどの段階で関与するの?
・弁護人などの種類,費用
国選弁護人
私選弁護人
当番弁護士って聞いたことあるけれど,何?
日弁連被疑者援助弁護士って聞いたあるけれど何?
★20年にわたり刑事事件担当裁判官を勤めた弁護士高橋裕が,名古屋の実情を含め,お話します。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖